スーパーの野菜売り場で、大根が一本ずつ堂々と並んでいるのを見ると、
「今日は覚悟がいるな」と思うことがあります。
カゴに入れた瞬間、ずっしり。
帰ってきてまな板に置くと、さらに存在感が増す。
さて、どう使い切ろうか。
この時点で、もう料理は始まっているのかもしれません。
同じ大根なのに、味が違う気がする
大根を使っていて、こんなことはありませんか。
昨日のサラダは、驚くほど甘かった。
でも今日のおろし和えは、思わずむせるほど辛い。
「切った場所が違っただけ」
実はそれが、答えだったりします。
一本の大根は、どこで切るかによって、
驚くほど性格が変わります。
大根はなぜ上と下で味が違うのか
大根は、土の中で役割分担をしながら育ちます。
葉に近い上の方
ここは日光に近く、水分をたっぷり含んだ場所。
細胞が大きく、糖分も多めで、
生で食べると、梨のようなやさしい甘さがあります。
先端に近い下の方
こちらは土の奥へ伸びていく最前線。
身を守るための辛味成分が多く、
繊維もしっかりしています。
真ん中は、その中間。
どちらにも偏らない、いわば「安定担当」。
一本の大根は、
上から下へ、ゆっくり性格が変わっている。
そう思うと、少し面白く見えてきます。
「適材適所」で、無理をしない
「どこを使っても同じ」と思っていると、時においしさを逃してしまうことがあります。
すべてを厳密に使い分ける必要はありません。
でも、なんとなく知っておくだけで、失敗が減ります。
上の方は、生で
水分が多く、シャキシャキとした食感の上部は、加熱せずが一番
甘みと水分を活かして。
- サラダ
- 和え物
- 辛さ控えめのおろし
「今日は当たりだったな」と感じるのは、だいたいこのあたりです。
真ん中は、主役に
厚みがあり、肉質が安定している真ん中の部分は、どんな料理にも馴染む
- おでん
- 煮物
- ふろふき大根
特別な工夫をしなくても、
ちゃんと応えてくれる場所です。
下の方は、アクセントに
辛味と歯ごたえを、あえて使います。
- 焼き魚用の辛口おろし
- 味噌汁
- 漬物
「今日はさっぱりさせたい」
そんな日に頼りになるのが、ここ。
切り方でも、性格は変わる
もうひとつ、小さな違いがあります。
それは、包丁を入れる向き。
大根の繊維は、縦に走っています。
- 輪切り・半月切り
→ 繊維を断ち、甘みが出やすい - 縦切り
→ 食感が残り、シャキッとする
なんとなく切るのをやめて、
「今日はどんな役で使うか」を考えるだけで、
仕上がりが少し変わります。
保存するときも「上」と「下」は同じじゃない
大根は買ってきた瞬間から、少しずつ性格が変わっていきます。
特に差が出やすいのが、保存している間。
上の方は水分が多いぶん、乾燥しやすく、
下の方は意外と長持ちします。
一本のまま保存するなら、
葉を切り落とし、立てて保存するのが基本。
畑で育った向きに近づけるだけで、
大根は少し安心した顔をする……気がします。
すでに切ってある場合は、
上の方から使う、という順番を意識するだけでも、
「あれ、味が落ちた?」という場面を減らせます。
葉っぱは、捨てなくていいどころか
大根の話をするとき、
つい忘れられがちなのが葉の存在です。
正直、主役感はありません。
でも、実力はあります。
細かく刻んでごま油で炒める。
ちりめんじゃこと合わせる。
味噌汁に少しだけ入れる。
それだけで、
「ちゃんと使い切った感」が生まれます。
葉は、上でも下でもない番外編。
一本の大根を最後まで使い切るための、
ちょっとした達成ボーナスのような存在です。
辛くなりすぎたときの、現実的な対処法
下の方を使ってみたら、
思った以上に辛かった。
そんなときもあります。
無理に「失敗した」と思わなくて大丈夫です。
・少し時間を置く
・空気に触れさせる
・加熱する
辛味成分は揮発しやすいので、
それだけで、ずいぶん穏やかになります。
逆に、
「今日はキリッとさせたい」という日は、
すりおろしてすぐ使う。
大根は、
扱い方で機嫌が変わる野菜です。
完璧じゃなくていい
もちろん、
「今日は下しか残ってない」
そんな日もあります。
そのときは、
隠し包丁を深めに入れる。
少し長めに煮る。
上の方でおろしを作るなら、水分をしっかり切ってから出す。
大切なのは、「この部分はこういう性格なんだ」と知っておくこと。
性格を知っていれば、
あとから調整ができます。
無理に合わせる必要はありません。
最後に
次に大根を買ってきたら、
まず三つに分けて、少しだけ眺めてみてください。
それだけで、
「今日はどこから使おうか」と考える時間が、
少し楽になります。
日常の小さな違和感が、
「なるほど」に変わる瞬間。
暮らしが劇的に変わるわけではないけれど、
ほんの少し、軽くなる。
そんな工夫も、悪くない気がします。
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